2016年11月5日

染織研究家 木村孝さん

着物の着付けを習い始めたころ、和装のイロハも知らず、季節の決まりごと・帯と着物の合わせ方等等わからない事ばかりでした。

好きな柄や色はと問われても、洋服ならイメージできるのに、着物となるとたちまち途方に暮れ 見当もつかない・・という状態でした。

そんなときに参考にしたのが雑誌「美しいキモノ」 わからないながらもページをめくるごとに目に飛び込んでくる素敵な着物姿に心が躍り、そのうちに自分が心ひかれるスタイルが定まってきて、おずおずとではありますが、着物の世界に足を踏み入れる事が出来たように思います。

その雑誌で着物の監修をされ、ご自身も凛とした着物姿で登場し、和装のルールについてもわかりやすく、また今の時代にあった考え方を教えて下さったのが、染織研究家・木村孝さん。

1920年 京都の染色の家に生まれ、女学校卒業後は京都新聞文化部に席を置き、家業を継いだ後は、ニューヨークやロンドンで染織を研究し個展も開き、50歳を前に帰国してからは、執筆や講演活動を続けてこられたキャリアウーマンです。

ことし96歳のお誕生日を迎えたばかりの先月下旬 高松にいらっしゃいました。あこがれの女性に高松で会えるなんて!と、勇んで出かけましたが、誌面で拝見するのとかわらぬ美しい着物姿。1時間の講演を立ったままこなすお元気さ。参加者との記念撮影の際も、お疲れの様子も見せず、参加者の着こなしを素早くチェックしたり、立ち姿にアドバイス下さったり。そのパワフルさには頭が下がりました。講演会の後の懇親会でも終始なごやかな笑顔でした。

講演の中で「90歳をこえたら、すごく楽になったの。もう、死ぬ事が怖くなくなったのね。でもまだやりたい事もやらなければならない事も沢山あるので、本当に忙しいのよ!」と仰っていた言葉が、とても印象的でした。

その木村孝さんの訃報が届きました。 今後のスケジュールも詰まっていたようです。 又 高松に来て下さる、そんな計画もありました。

着物の素晴らしさを少しでも多く人に伝え、着物を身近なものとして楽しんでほしい。そんな想いで最後まで駆け抜けた人生だったのではないでしょうか。

「もし、パーティなどに参加者ではなく司会者として参加する場合、着物を着るならどんな風に選べばいいでしょうか?やはり裏方ですから、控えめにするべきですか?」と伺いましたら、「おめでたい会ならば、うんと綺麗に華やかにしていきなさい。お化粧もしっかりしてね! それが会の主催者への心遣いです」と教えてくださいました。

いつか、そんな機会があれば自信を持って着物を着こなせるよう精進します。

木村孝さんの ご冥福を 心からお祈りいたします。%e6%9c%a8%e6%9d%91%e5%ad%9d%e3%81%95%e3%82%93

 

 


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